2024年03月08日

2024年 第9週 (2024.2.26~ 2024.3.3)

★県内で注目すべき感染症
~注意点や予防方法~

〇インフルエンザ
 県内では、今シーズンの始まりである第 36 週(9 月 4 日~10 日)に定点当たり報告数が 3.11(報告人数:137 人)とインフルエンザの流行の目安とされている 1.00 を超え、第 41 週から 21 週連続で注意報値を超えています。
 また、学校等で集団発生による学年閉鎖、学級閉鎖が報告されているので注意してください。
 全国でも、令和 4 年第 51 週(12 月 19 日~25 日)に流行期入りした後、1.00 を下回ることはなく、20週連続で注意報値を超えています。
 国内のインフルエンザウイルスの検出状況は、直近の 5 週間(2024 年第 5 週~第 9 週)では B ビクトリア系統の検出割合が最も多く 61.6%、次いで A(H3)が 20.5%、A(H1)pdm09 が 17.8%と異なる型が検出されています。
 今週の県内は、インフルエンザ定点医療機関での迅速診断で、インフルエンザ A 型が 6 件(1.3%)、インフルエンザ B 型が 466 件(98.7%)検出されており、ほぼ B 型に置きかわっています。
今シーズン、A型に感染したことのある人でも B 型に感染することがありますのでご注意ください。

〇新型コロナウイルス感染症
<予防方法>
・手洗い・消毒は感染予防に特に有効です。
・密閉・密集・密接の回避と家やオフィスなどの換気を十分にしましょう。
・医療機関受診時や混雑した電車やバスに乗車する時など、効果的な場面でのマスク着用をお願いします。

〇A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 この病気は、A 群連鎖球菌による上気道感染症です。
 県内では、過去 10 年間の同時期と比較してかなり多い報告数となっています。
 患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことによる「飛沫感染」、あるいは細菌が付着した手で口や鼻に触れる「接触感染」が主な感染経路になります。
 典型的な症状は、2~5 日の潜伏期を経て、突然 38℃以上の発熱、咽頭発赤、苺状の舌などがみられます。
1 週間以内に症状は改善しますが、まれに重症化し、喉や舌、全身に発赤が拡がる全身症状を呈することがあります。
<予防方法>
・患者との濃厚接触を避け、手洗い、咳エチケットを心掛けましょう。

〇咽頭結膜熱
 咽頭結膜熱は発熱・咽頭炎及び結膜炎を主症状とするアデノウイルスによる急性の感染症です。
 過去 10 年の同時期と比較してかなり多い報告数となっています。
また、定点医療機関からのホット情報でもアデノウイルスを原因とする感染症の報告が多いので注意が必要です。
 潜伏期は 5~7 日で、症状は発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎が三大主症状です。
プールを介して流行することが多いことから、「プール熱」とも呼ばれています。
<予防方法>
・手洗い・うがいが大切です。
流水と石けんでよく手を洗いましょう。
・タオル・コップ等の共用、感染者との密接な接触はさけるようにしましょう。
・回復後にも2~4週間の長期にわたり便からウイルスが検出されることがあるので、特に、外出後、食事の前、トイレの後の手洗いを徹底しましょう。

〇ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)
 この病気は、乳児や高齢者に上気道炎や下気道炎を起こす呼吸器感染症です。
潜伏期間は 3~5 日、 感染経路は飛沫感染と接触感染と考えられています。
 流行時期には高齢者施設等での集団発生も散見されていますので注意してください。
有効なワクチンが無く、呼吸困難や脱水などの症状に応じた対症療法が中心となります。
 感染予防には、手洗い、うがい、マスクの着用、接触感染対策が大切です。
 定点医療機関からのホット情報では、hMPV による感染症が安芸 1 例、中央東 5 例、高知市 12 例、中央西 1 例、須崎 3 例、幡多 10 例と県全域で報告されています。
<予防方法>
・咳エチケットと手洗いを心がけましょう。

〇ダニの感染症(SFTS・日本紅斑熱)
 今年初めて幡多から「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」の発生届がありました。
 「日本紅斑熱」や「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」は、屋外に生息する比較的大型(吸血前で 3~4mm)の「マダニ」が媒介する感染症です。
 マダニは、暖かくなる春から秋にかけて活動が活発になります。
この時期は、人も野外での活動が多くなることから、マダニが媒介する感染症のリスクが高まります。(全てのマダニが病原体を持っているわけではありません)
また、ネコやイヌなどの動物が SFTS ウイルスに感染、発症した場合、その血液や唾液などの体液に直接触れることで感染する可能性があります。
 ペットの健康状態の変化に注意し、体調不良の際には、咬まれたり舐められたりしないように注意してください。
必要な場合は動物病院を受診しましょう。
また、ペットがマダニに咬まれないようダニ駆除剤を使用することも有効ですので獣医師に相談しましょう。
<予防方法>
・マダニやツツガムシに「咬まれないようにする」ことが予防策になります。
・野山や畑などに出る時には、長袖・長ズボンで肌の露出を避けましょう。
・ツツガムシには、虫除け剤(有効成分:ディート)も有効です。
・飼っているネコやイヌが外で咬まれることもあります。
ブラッシング等をこまめにしてマダニを持ち込まないようにしましょう。
・体調不良のペットに触れたときは、手洗いを心がけてください。
<発熱等の症状が出た場合>
・野山に入って数日~数週間経過した後、発熱等の症状が出た場合は、医療機関を受診してください。
・受診の際は、発症前に野山に立ち入ったこと(ダニに咬まれた可能性)を伝えてください。
<参考>
*重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する Q&A(厚生労働省)
>>詳細はこちら
*高知県衛生環境研究所 ダニが媒介する感染症及び注意喚起パンフレット
>>詳細はこちら

【高知県 衛星環境研究所
感染症発生動向調査(週報)より参照】
(2024年3月6日更新)